岡山大学が発見した新たなイネの鉄輸送体の重要性と農業への影響

2025年11月16日、岡山大学の研究チームがイネの節に存在する新たなタンパク質、IET1（Iron Efflux Transporter 1）を発見したことが発表されました。これは、細胞内から細胞外に二価鉄イオンを排出する重要な役割を果たす輸送体で、特に新しい葉や穂への鉄の分配に寄与することが分かりました。

新発見の背景

この研究は、中国科学院南京土壌研究所の研究チームと共同で行われており、岡山大学資源植物科学研究所の馬建鋒教授と宮地孝明研究教授の指導の下、進められました。鉄は植物にとって必須の微量元素ですが、土壌の環境条件によってその可溶性が大きく変わるため、植物は効果的に鉄を取り込む工夫をしてきました。

これまでの研究では、イネが鉄を取り込むメカニズムは多く解明されていましたが、細胞外への排出についてはあまり知られていませんでした。IET1は、主にイネの節で発現しており、維管束を経由して新たな組織に鉄を供給する役割を果たしています。この新たなメカニズムの解明は、持続可能な農業の発展に寄与することが期待されます。

研究成果の意義

今回の成果は、国際的な学術誌「Nature Communications」に掲載され、世界の科学界から注目されています。IET1が果たす役割の理解は、イネやその他の作物が環境の変化にしなやかに適応する能力を高めることに繋がります。その結果、これからの農業において、より安定した生産が可能になるでしょう。

馬建鋒教授は、この研究を通じてイネの環境適応能力を向上させ、持続可能な農業の確立を目指していると語ります。加えて、この研究は5年以上に及ぶもので、研究者たちの努力が結実した結果であるとも述べています。

取り組みの未来

岡山大学では、最新の農業技術や研究成果を基に、地域の農業生産性を向上させるための活動も行っています。研究成果の応用によって、鉄の供給が最適化され、イネの生産性が向上すれば、武器となる資源の複雑さを解決できる可能性があります。これにより、賢い農業が実現するでしょう。

また、他の作物への応用の可能性も見込まれており、今後の研究展開が期待されます。環境にやさしく、持続可能な農業を育むために、研究者たちは挑戦を続けていく意欲をみせています。