岡山大学が生み出した新たな地平線──死んだふり行動の研究書刊行
岡山大学の環境生命自然科学学域(農)の宮竹貴久教授が、動物に見られる「死んだふり」行動に関する英文書籍を刊行しました。この書籍は世界初の包括的なリソースとして、死んだふり行動のメカニズムや進化的意義を詳細に解説しています。
死んだふり行動とは?
「死んだふり」行動は、捕食者からの回避反応として、多くの動物が行う驚くほど面白い生存戦略の一つです。例えば、多くの昆虫や爬虫類がこの行動を取ることが知られていますが、これがどのように進化し、動物界でどのような役割を果たしているのかは長年の研究課題でした。
このたびの書籍『Death Feigning: Mechanisms, Behavioral Ecology and Implications for Humans』では、ミジンコから人間まで多岐にわたる生物の死んだふり行動を分析し、その実態を解明しています。書籍には、これまでの研究結果と宮竹教授自身の甲虫に関する実験を基にしたデータも盛り込まれています。
動物行動の解析
宮竹教授は1990年代後半から死んだふりに関する研究を続けており、2001年からはその成果を公表し続けています。これまでの研究から、死んだふりは単なる生存戦略に留まらず、人間の心理的健康に関連する現象であることが示唆されてきました。特に、PTSDやパーキンソン病に見られるフリーズ現象との関連性も示されています。
書籍の内容と目的
新たに刊行されたこの書籍は、行動学・生理学・分子生物学の視点を取り入れながら、死んだふり行動を様々な科学分野の知見とともに紹介しています。そして、動物行動の進化的意義やその背後にある生理的なメカニズムについても説明されています。特に、甲虫に関するデータに基づき、死んだふり行動の詳細なメカニズムについての説明がなされています。
書籍を通じて、宮竹教授は「死んだふり」が生物の行動においてどのような重要性を持ち、どのように社会やヒトにまで影響を及ぼしているのかを示したいと考えています。
すべての研究者に送るメッセージ
宮竹教授は、「1997年、甲虫を指でつつくと動かなくなる行動に魅力を感じた瞬間から、研究を続けてきました。30年以上の研究の集大成として、この本が生まれました。若い研究者には、自分が面白いと思うことを追求してほしい」と語ります。これは、研究に対する情熱がどのように新たな知見を生み出すかを示す良い例でもあります。実際、書籍は2026年1月3日にSpringer Nature Linkにオンライン掲載され、多くの人々に新たな知識を届けています。
まとめ
「死んだふり」という一見奇妙な行動が、実は動物界における重要な生存戦略であり、人間社会にも反響を与え得ることが明らかになってきました。岡山大学の新しい研究により、この行動を理解し、探求するための新たな資料が提供されることが期待されています。今後の研究がどのように進展するか、注目が集まります。