岡山大学とOticonの聴覚支援プロジェクト
2025年9月19日、岡山大学に世界的な補聴器メーカーであるOticonのセバスチャン・サントゥレット博士が訪れました。彼はデンマークからの訪問者であり、岡山大学と岡山市の関係者と共に聴覚支援に関するさまざまな取り組みを視察し、意見を交わしました。ここでは、今回の訪問の様子と岡山大学が進める聴覚支援活動についてご紹介します。
岡山かなりや学園の視察
最初に、博士は児童発達支援センター「岡山かなりや学園」を訪れました。この施設は、日本で初めて設立された難聴幼児通園施設であり、現在でも80人以上の園児が通っています。同園の新しい設備を見学し、補聴器や人工内耳が実際にどのように使用されているかを学びました。
博士は特に、児童のためのインクルーシブ教育の重要性と、岡山県が進める聴覚障害児の支援事業について聞き、デンマークとの違いを整理しながら意見を交わしました。このような国際的な意見交換は、地域の教育と医療連携の在り方に新たな視点をもたらす重要な機会となりました。
岡山市役所での加齢性難聴対策
次に、岡山市役所を訪れ、博士は市の加齢性難聴対策について話し合いを行いました。この日、「世界アルツハイマーデー」を踏まえた講演会やパネル展示も行われており、聴覚検診車「Audika Go」が稼働する様子を視察しました。この検診車は、市民が早期に加齢性難聴を発見するための重要な役割を担っています。
博士は、行政や大学、企業が協同して進めるこのモデルを、公共と民間の連携(Public Private Partnership)として高く評価し、さらなる発展に期待を寄せました。
「City for Better Hearing」を目指して
岡山大学とデマント・ジャパン株式会社は、「City for Better Hearing(聞こえのまちづくり)」という聴覚支援に関する協定を締結しています。この取り組みは、地域の研究大学としての強みを生かして、地元向けの先進的な聴覚支援モデルを構築することを目指しています。
片岡祐子センター長補佐は、「聴覚障害児への適切な支援が十分でない現状に危機感を抱いています。加齢性難聴関連の研究が進む中で、我々は全ての関係者が一体となって、地域に根ざした良い実践を全国に広げていくべきだと考えています」と語りました。
今後の展望
この訪問は、地域と国際的な視点を融合させ、岡山における聴覚支援に新たなモデルを創造するための第一歩とされています。今後、さらなる連携を深めていく中で、岡山大学と岡山市、Oticonの協働によって、聴覚支援の未来が明るくなることが期待されます。
聴覚支援に関する詳細な情報や施策については、岡山市の公式サイトをご覧ください。あなたの「聞こえ」をぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。