日本の医療現場で高まる外国人患者への英語対応の必要性
近年、日本の医療現場で活躍する医師たちは、外国人患者の増加を実感しているという調査結果が報告されました。このグローバル化の流れを受けて、医療界における英語対応力の向上が求められていますが、その現状はどのようなものでしょうか。
調査結果の概要
MED ITALY株式会社が実施した「医師の英語対応力」に関する調査によると、約90%の医師が外国人患者が増えていると認識しています。この背景には、訪日外国人の数が年々増加していることがあり、医師たちはその結果として語学能力がますます重要に感じています。
また、調査対象の医師の中で、84.5%が国際的に活躍する医師に憧れを抱いていると回答しました。これは、医療のグローバルな視点の必要性を示しています。多くの医師が国際学会や海外研修を通じて、外国人患者への対応力を向上させたいと感じています。
言語面での課題
外国人患者と接する中で、語学力不足がもたらす影響も顕在化しています。例えば、医師の42.3%が、英語での診断や治療内容を十分に説明できなかったと答えました。さらに、39.4%は症状や病歴を正確に把握できなかったとし、32.7%は処方薬の説明が伝わらなかったとしています。これらの結果は、医療の質や患者の安全に深刻な影響を及ぼす可能性があることを示唆しています。
学術活動における英語力の必要性
国際学会に参加する際にも、英語力は重要な課題とされています。調査結果では、9割以上の医師が、英語力が高ければ学術活動がより有意義なものになったと感じたと回答しています。プレゼンテーション自体は準備が整っていても、質疑応答や交流会でのスムーズなやり取りに自信を持てない医師が多いのが現状です。これにより、日本の医師は国際的なスタンダードに追いつくことが難しいという問題が顕在化しています。
英語対応体制の実情
実際の医療現場における英語対応体制についても調査が行われました。回答者のうち、職場に英語でスムーズに対応できるスタッフが「5割以上」と答えたのはわずか15.6%に留まり、多くの医療機関で英語対応が十分でないことが明らかとなりました。また、英語対応に時間がかかり診療効率が下がることや、外国人患者対応での誤解やトラブルが生じることも課題として挙げられました。
医師たちの今後の見通し
それでも、医師たちは今後の英語対応力に前向きな姿勢を見せています。約9割の医師が、海外での学びに前向きであると回答し、英語力がキャリア形成において重要であると考えています。「外国人患者との円滑なコミュニケーション」や「最新の医療情報を直接入手できる」といったメリットを支持し、海外で学ぶことが将来的な医療への貢献につながると考えられています。
まとめ
今回の調査を通じて、多くの医師が外国人患者への英語対応力の向上が急務であることを認識していることが明らかになりました。言語の壁を越えることで、医療の質を向上させ、患者の安全を確保するためには、今後の取り組みが欠かせません。海外での学びの重要性が増す中、医師たちのグローバルな視野を広げるための支援が求められます。国際的な医療環境で活躍するために、一歩踏み出すことが未来の医療を変える鍵になるでしょう。