くら寿司が挑む人手不足問題!従業員体験を重視した研修とは
日本全体の外食産業が深刻な人手不足に直面している中、くら寿司はその解決策を「従業員体験(EX)」に求めています。2024年度の調査によると、外食企業の4分の1が国内出店計画を下方修正しており、特に「飲食物調理」の求人倍率は2.47倍、「接客・給仕」は2.68倍と、他業界を大きく上回る状況にあります。このような状況は、団塊世代の退職、少子高齢化、そして働き方に対する価値観の変化が複雑に絡み合ってきた結果です。
EX(従業員体験)の重要性
人手不足を解決するためには、働く環境を魅力的にする必要があります。くら寿司は、従業員が「この会社で働きたい」と感じるために、さまざまな体験型研修を実施しています。例えば、農業や漁業の現場での体験を通じて食の安全や安心を学び、企業の活動がどのように地域に貢献しているのかを実感します。
具体的には、くら寿司は「KURA-No. 1 GRAND PRIX」と呼ばれる社内コンテストを開催しており、接客・調理スキル向上だけでなく、スタッフ間のチームワークや競争意識を育む仕組みがあります。こうした取り組みは、従業員のモチベーションを高め、離職率を低下させる効果を確認されています。
人材育成の最前線
くら寿司のかかわりは単に従業員にとどまらず、地域社会や業界全体にも広がっています。例えば、2023年には和歌山県での漁業研修を含む体験学習を行い、未来に向けた持続可能な食文化を支える意識を高めています。ここでの体験を通じて、スタッフ各自が消費者としての責任感を持つきっかけともなるでしょう。
また、企業理念の共有は社内外問わず重要で、企業の方向性を従業員にしっかりと伝えることがミスマッチや早期離職を防ぐ鍵となります。
継続的な成長支援
このようにくら寿司は、参加者が行動できるよう、自己成長を促す体験型研修を設計しています。座学中心だった研修は見直され、ディスカッションやフィールドワークを通じて、学びを「自分の事」として受け止められるよう工夫されています。これにより、企業のビジョンと従業員個人の夢が結びつき、業務に対するモチベーションが格段に上昇します。
2024年には等しい労働環境を整えた結果として、くら寿司の社員の離職率は過去最低を記録したというデータもあります。これは、従業員に対する研修や職場環境の改善が明らかな成果を上げた証拠なのです。
2025年の展望
この取り組みにともない、2025年には「KURA-No. 1 GRAND PRIX」の初の世界大会が開催される予定です。アメリカや台湾の店舗からも選手が参加し、競技の中で培った技術やサービス精神が国境を超えて共有される機会となります。
くら寿司は、社内のみならず国際的な舞台でもその存在をアピールすることで、自社の取り組みを通じて業界全体をより良くするという使命を果たそうとしています。これからも、外食産業の変革を進めるうえで、その先駆けであることに期待が寄せられています。