地域連携で進める新たな子ども支援活動
埼玉県川越市に位置する公益財団法人川野小児医学奨学財団は、2025年に新たに開始した「医師・地域連携 子ども支援助成 -子どものこえからはじまるアドボカシー活動-」の第1回採択団体を決定しました。この活動は、地域で子どもたちの声を聴こうとする医師たちの取り組みを支援し、小児科医が抱える課題解決を促進することを目的としています。
助成の目的と選考の背景
この助成事業は、医師を中心とした連携による子ども支援活動を「子どものこえ」に基づいて行おうというものです。採択された団体には、最大で70万円の助成金が支給され、活動が確実に成果を上げられるように支援が行われます。2027年には成果報告会が予定され、採択団体同士がその成果や知見を共有する場も設けられます。
近年、子どもを取り巻く問題が多様化し、医療の現場でも「アドボカシー」という社会に働きかけるスタンスが必要とされています。小児科医は日々の診療で子どもたちの様々な問題に直面しており、そのための活動が求められています。
採択団体とその取り組み
2025年度の採択団体は5団体で、合計の助成額は299万9181円となりました。具体的には以下のような活動が行われます:
1.
まどかファミリークリニック(348,301円)
- 在宅医療の子どもたちの「声」が十分に受け止められない現状を改善するため、多職種連携カンファレンスを開催し、子どもたちの意見を可視化し活用する活動。
2.
豊川市HPVワクチン接種検討委員会(630,880円)
- 正しい情報を提供することで、中学生とその保護者にHPVワクチン接種の重要さを伝えるプロジェクト。がん出前講座を通じて、感染症とがんの関係を学ぶ機会を提供します。
3.
大阪市立総合医療センター(700,000円)
- てんかんのある子どもたちの「こえ」を地域社会に届ける活動を展開し、啓発を行うプロジェクト。実情を把握し、環境を改善することを目指します。
4.
熊本大学(700,000円)
- 食物アレルギーを抱える子どもたちが抱える葛藤を掘り下げ、実効性のある支援体制を構築するために、子どもたちの声を聞き取る活動を実施します。
5.
愛知県医療療育総合センター(620,000円)
- 先天性遺伝性疾患を持つ子どもたちが必要とする医療や福祉の支援を実施するために、ニーズ調査や移行期医療の支援を行います。
取り組みの意義
この助成事業のスタートは、医療者だけでなく地域全体で子どもたちの声を聴き、響かせるための重要な一歩です。採択団体が行う活動は、子どもたちに寄り添い、彼らの声を社会に届けることを目的としています。これにより、地域での子ども支援の環境が整い、より多くの子どもたちが安心して成長できる社会を築くことが期待されています。
地域の期待と声
選考委員会では、26件の応募から厳選された5団体の活動が評価され、地域の期待が高まっています。このような助成金支援活動を通じて、地域での子どもたちの未来に向けた取り組みが一層促進されるでしょう。小児科医のアドボカシー活動への理解や支援の必要性が認識され、地域全体が一丸となって子どもたちの問題に向き合う姿勢が求められています。
埼玉県を拠点とする川野小児医学奨学財団は、引き続きこの助成事業を通じて、子どもたちの未来を明るくする活動をサポートしていくことでしょう。