新型医療機器による不整脈治療の革新
不整脈に悩む患者の命を守る新たな治療法、血管外植込み型除細動器(EV-ICD)が2025年3月1日から保険適用されることになり、岡山大学病院ではその導入において国内初の手術を実施しました。この新たな医療機器は、従来の植込み型除細動器(ICD)に比べて合併症のリスクを抑えつつ、小型化され、バッテリーの寿命も10年以上という特長があります。
1. EV-ICDのメリット
新型のEV-ICDは、心臓に直接触れずに血管の外側に装置を埋め込むことができるため、患者の体に対する負担が軽減されます。従来の方法では、リードを血管内に挿入して固定する必要があり、これによりリードの断線や感染、血管閉塞といったリスクが伴いました。しかし、EV-ICDではリードが心臓の近くで血管の外側に留置されるため、不整脈を感知しやすくなり、合併症の可能性が大幅に減少します。
また、この装置は小型化されており、体への負担も軽減されています。さらに、バッテリーの耐用年数が10年以上に延びたことで、患者の生活も向上し、不整脈治療の新たな選択肢となることが期待されています。
2. 手術実施の概要
岡山大学病院では、保険適用が始まった直後の2025年3月3日に、国内で初めてこの新型デバイスを用いた植え込み手術を2例行いました。手術を担当した西井伸洋准教授は、初めて手術を受けた8人の患者の経過も順調であることを確認しており、新しい機器がもたらす利点に期待を寄せています。具体的には、痛みが少なく、治療後の患者の心身の負担が軽減されることが大きなメリットとされています。
この新たな不整脈治療の展開は、今後多くの患者に恩恵をもたらすでしょう。
3. 医療における革新と今後の展望
不整脈による突然死を防ぐための医療技術は常に進化しています。岡山大学のEV-ICDは、その一例であり、今後ますます多くの医療機関での導入が期待されます。このような医療技術の進展により、心臓病を抱える多くの患者が安心して日常生活を送れるようになることを願っています。
これからも岡山大学は、技術革新を通じて医療の質の向上や患者の生活の質の改善に尽力していくことが期待されています。