岡山大学における優れた研究者の称号付与式
国立大学法人岡山大学は、2025年7月22日に本学津島キャンパスにて、学術研究院環境生命自然科学学域の茶谷悠平准教授を「研究教授」と、さらに医療開発領域の谷岡真樹講師、定平卓也助教、学術研究院医歯薬学域の川合智子助教をそれぞれ「研究准教授」として選任しました。この称号付与式では、那須保友学長が認定証を授与し、各研究者がその研究内容について紹介しました。
茶谷悠平研究教授の革新研究
茶谷研究教授は、DNAの配列ではなく、アミノ酸の配列にコードされた遺伝情報の解読を目指す研究を行っています。彼の研究は、従来の技術では難しかった課題に新たなアプローチで取り組むものであり、特に「難翻訳配列」に注目し、特異的に作用する新しい翻訳促進因子の創出を目指しています。この技術が実現されれば、遺伝子機能の制御やタンパク質生産の効率が大きく改善され、社会のさまざまな問題の解決にもつながることが期待されています。
定平卓也研究准教授の新たな治療法
定平研究准教授は、頻尿や夜間頻尿といった難治性の病状に対する新しい治療法の開発に取り組んでいます。彼の研究は、膀胱三角部での知覚神経の異常による知覚過敏を解消することを目指す「ETA頻尿治療」に焦点を当てています。この治療法では、内視鏡を用いて膀胱の粘膜に薬剤を直接塗布し、過剰な尿意を改善する効果が期待されています。この新規治療技術は岡山大学発のものとして、今後の医療現場での応用が見込まれています。
谷岡真樹研究准教授の深層学習の活用
谷岡研究准教授は、乳がん治療の向上を目指し「説明可能な」深層学習モデルを用いています。彼は、CDK4/6阻害薬という乳がん治療薬のバイオマーカーを特定する研究を進めています。このバイオマーカーは治療効果や病気の状態を評価するために重要ですが、現段階では実際の医療現場で使用されていません。彼の研究が進むことで、個々の患者に最適な治療法を選択できる未来が期待されています。
川合智子研究准教授の生殖医療の発展
川合研究准教授は、生殖医療に関する重要な研究を行っています。彼女は、生体内の物理環境や生活習慣が生殖細胞に与える影響を明らかにしようとしています。具体的には、その影響を模倣した培養システムを用いて、診断や治療への応用を目指しています。生活習慣の問題に対しては、自律神経がどのように生殖細胞に影響を与えるかを解明し、早期の発見と予防治療に貢献することが期待されています。
研究者制度の意義
岡山大学では、優れた研究業績を持つ研究者を支援するため、「研究教授」および「研究准教授」制度を設けています。この制度は、研究力強化や若手研究者の育成を目的としており、独立した研究代表者としての活動を促進しています。今後も岡山大学が地域社会や国際的な研究の発展に寄与し続けることが期待されています。
引き続き地域に根ざした特色ある研究が進展し、これらの若手研究者の奮闘に注目し続けてほしいと思います。