陸上植物の細胞分裂を制御するCORD遺伝子の発見とその意義

植物の細胞分裂における新たな仕組みが明らかになりました。名古屋大学、岡山大学、神戸大学の共同研究チームが、細胞分裂の方向性を制御する「CORD遺伝子」の役割を解明しました。この研究成果は、2025年9月13日、科学誌『Current Biology』にて発表されました。

CORD遺伝子とは何か？

CORD遺伝子は、植物細胞の分裂時に重要な役割を果たす遺伝子で、特に中心体を持たない植物細胞において、紡錘体の向きを安定させることが確認されました。細胞が適切な方向に分裂するためには、この遺伝子が必要不可欠であることが実証されています。この発見は、植物の進化過程を理解する上で新たな手がかりを提供します。

研究の背景と方法

名古屋大学大学院理学研究科の佐々木武馬助教を中心とした研究グループは、基部陸上植物のゼニゴケと被子植物のシロイヌナズナを対象に、CORD遺伝子の機能を分析しました。これにより、CORD遺伝子が細胞分裂に関連する紡錘体の形成を制御していることが明らかになりました。古代の藻類から陸上植物への進化の過程で、この遺伝子がどのように獲得されたかを解明することが期待されています。