チオレドキシンの突然変異が神経・腎疾患を引き起こすメカニズムを解明
2025年10月12日、国立大学法人岡山大学と理化学研究所、日本原子力研究開発機構、総合科学研究機構の共同研究グループが発表した成果が、神経疾患や慢性腎臓病と深く関係する酸化還元タンパク質「チオレドキシン」について、新たな理解をもたらしました。この研究では、チオレドキシンの突然変異がどのようにしてこれらの疾患を引き起こすのか、そのメカニズムが解明されています。
研究の概要
チオレドキシンは、体内で重要な役割を果たすタンパク質であり、酸化還元反応の調節に寄与しています。しかし、突然変異が起こることで、その機能が損なわれ、脳神経変性や慢性腎臓病を引き起こすことが知られていました。本研究では、チオレドキシンの構造の揺らぎが大きくなり、結果としてその安定性が低下することを示しました。
詳細な解析
この研究において、研究者たちは機能解析やX線結晶構造解析、さらに分子動力学シミュレーションを駆使して解析を行いました。結果的に、チオレドキシンの突然変異が発生すると、その周辺構造の動きが大きくなり、元々の酸化還元機能が著しく低下することが明らかになりました。この変化が、神経細胞の変性や腎機能の低下を引き起こすメカニズムの一端を解明したことになります。
研究の意義
この研究の成果は、酸化ストレス関連疾患に対する理解を深め、新たな治療法の開発に寄与する重要なステップです。また、今回の成果は、科学雑誌『Biochimica et Biophysica Acta - General Subjects』のオンライン版に掲載され、多くの研究者からの注目を集めています。
引用文献
論文タイトルは「The F54L mutation of Thioredoxin shows protein instability and increased fluctuations of the catalytic center」であり、著者は竹下浩平、岡山大学の大守伊織教授をはじめとする多くの研究者が名を連ねています。アクセスポイントとしては、以下のリンクを参照することができます。
論文リンク
研究のサポート
この研究は、日本学術振興会(JSPS)や日本医療研究開発機構(AMED)などの支援を受けて行われました。今後もさらなる研究が期待されます。
お問い合わせ
研究に関する詳しい情報は、理化学研究所の放射光科学研究センターや岡山大学の関連部門からも入手可能です。興味のある方はぜひ、直接お問合せください。この研究の進展は、医学や生物学の分野において革新をもたらす可能性があります。