「支える経験が就労意欲のカギ—キャリカの取り組み」
埼玉県草加市と東京都足立区を拠点に障害福祉サービスを展開している一般社団法人キャリカは、「支えられる経験」だけでなく「自分も誰かを支える経験」が、就労意欲に大きな影響を与えると考えています。2026年から民間企業の障害者の法定雇用率が引き上げられる中で、キャリカが提示する障害者雇用モデルは、今後ますます重要になっていくでしょう。
キャリカの取り組みと研修開催
特に注目すべきは、令和8年7月31日に行われる「埼玉県ジョブサポーター研修ベーシックコース」での松岡代表の講義です。この研修は就労支援機関や企業で障害者雇用にかかわる担当者を対象にしており、オンライン形式で実施されます。松岡は「社会福祉制度に関する理解」をテーマに、就労支援を行う上で不可欠な基礎知識を講じることになります。この機会を通じて、参加者は障害者の就労意欲を支えるための具体的な手法を学ぶことができるのです。
就労意欲の育成における課題
近年、企業内での障害者雇用が増えてきていますが、採用後の定着支援ができていないのが現状です。精神障害のある方々は、働き続ける上で多くの課題に直面しています。松岡は、精神障害のある方々が「支えられる」だけでなく、「支える」ことが就労意欲や生活の質に結びつくことを強調します。この「支える」経験が、彼ら自身の自信や社会的なつながりを深める重要な要素となるのです。
調査結果から見える現実
松岡の研究では、企業で働く精神障害者184名を対象に調査が行われました。その結果、回答者の70.3%がパートタイムであり、正社員はわずか3.3%という状況が浮かび上がりました。これは、働くこと自体が難しい状況であることを示しています。また、休日に一人で過ごす割合が41.3%に上り、仕事での関係づくりが難しい現実も見えました。これに対処するためには、企業側でのサポートとともに、休日の交流を促進する環境の整備が必須です。
状況を打破するための企業の工夫
キャリカでは、企業が実施できる具体的な施策も提案しています。入社時の丁寧なオリエンテーションや一括相談窓口の設置、OJTを通じた段階的な技能習得などがその一例です。特に、自分が他者に支援を行う機会を設けることは、ナラティブなつながりを作り出し、信頼関係を構築する上でも非常に効果的です。職場内において、「ありがとう」や「助かった」というメッセージが日常的に交わされる環境は、精神障害のある方々に心の安らぎを与える要因となります。
未来へのビジョン
キャリカは今後、足立区と草加市を中心に40箇所以上の協力企業との連携を計画しており、地域の中で精神障害のある方の働く環境を整えることを目指します。企業研修や支援機関との協業を進めることで、本人が安心して働き続けられる場を提供する意義は大きいです。
まとめ
精神障害のある方にとって、就労意欲はその人の努力によるものだけではなく、周囲とのつながりや支え合いの中で形成されるものです。キャリカの取り組みを通じて、障害者雇用が進む未来を創り出すために、私たち一人一人ができることを考えていきましょう。