量子コンピューティングを駆使した新たな配送ルート作成サービス『OptyLiner』の誕生

新しい配送ルート作成サービス「OptyLiner」とは

近年、物流業界は様々な課題に直面しています。ドライバー不足や、労働時間の制限、そして環境問題としてのCO2削減が求められる中、効率よく配送計画を立てる必要性が高まっています。そんな中、株式会社エー・スター・クォンタム、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、そしてTriValue株式会社の3社が共同で開発した配送ルート作成サービス「OptyLiner」が注目されています。

OptyLinerは、量子コンピューティングと数理最適化という最先端の技術を駆使して、従来の配送計画の作成時間を大幅に短縮することを目的としています。具体的には、熟練職員が手作業で行っていた配送計画の作成を3時間かけて行っていたものを、約95%も効率化し、10分以内に完了できることが実証されました。

実証実験の詳細

2025年4月2日から5日にかけて、TriValue社のさいたまセンターにて、実際の配送業務における配送計画の策定を目的とした実証実験が行われました。この実験では、92件の宅配件数と10台の車両を使用して、OptyLinerの効果を検証しました。その結果、配送車両の台数を10台から9台に削減することができ、また、熟練担当者の従来の作成時間をわずか10分に短縮しました。

OptyLinerの機能

OptyLinerは、車両の積載量や台数、ドライバーの労働時間といった多様な条件を一度に考慮します。目的は、移動距離や稼働台数、さらにはCO2排出量を最小化することです。従来のシステムではルート計算に数分から20分以上かかっていたものが、OptyLinerでは驚くべきことに、わずか5秒で計算が完了します。この大幅な計算速度の向上により、条件を微調整し、シミュレーションを繰り返すことが容易になります。そのため、受注締切を早める必要がなく、空車の発生も抑制できる結果となりました。

未来に向けた展望

今後、3社はOptyLinerの機能をさらに拡充していく予定です。具体的には、共同配送の管理機能や、蓄積された配送データを元にした需要予測サービスの導入を視野に入れています。これにより、物流業界の構造変革を支援し、より良い配送環境を作り出すことを目指しています。

OptyLinerは、特に家具や建材、家電といった配送先で作業が発生する製品を扱う企業にとって、非常に有用なツールとなることでしょう。物流業界の課題を解消するために、OptyLinerという新たな一歩に大いに期待が寄せられます。