岡山大学の冨樫庸介教授が名誉ある賞を受賞
国立大学法人岡山大学の学術研究院医歯薬学域(医)に所属する冨樫庸介教授が、「第22回(令和7年度)日本学士院学術奨励賞」を受賞しました。この賞は、若手研究者が行った優れた研究を顕彰し、そのさらなる発展を奨励するためのもので、冨樫教授の業績が高く評価された結果です。
授賞式は2027年2月3日、東京都にある日本学士院で、日本学術振興会賞の授賞式と同時に行われる予定です。この名誉ある賞は、毎年卓越した研究成果をあげた若手研究者の中から、特に今後の活躍が期待される6名以内に贈られます。
受賞に至った研究の内容
冨樫教授が授与された理由は、がん細胞の新たな免疫逃避機構の解明です。彼の研究では、がん細胞に内在するミトコンドリアが宿主の免疫機能を妨げる役割を果たすことが明らかになりました。具体的には、がん細胞の変異ミトコンドリアが腫瘍浸潤Tリンパ球に伝播して、その機能を低下させるという驚くべき発見がありました。
がん細胞は、しばしばミトコンドリアゲノムに変異を持ち、この変異が細胞外小胞を通じて近隣のTリンパ球に伝わることが判明しました。こうして、がん細胞は免疫細胞を効果的に無力化することができるのです。特に、この変異ミトコンドリアは従来のミトコンドリア分解機構であるマイトファジーに対して抵抗性を持ち、最終的にはTリンパ球内でミトコンドリアのコピー数を増加させる結果となります。これにより、がん細胞は宿主の免疫から逃れ、生存を図ります。
研究がもたらす医療への期待
冨樫教授の発見は、がん免疫療法の新しい可能性を切り開くものと言えるでしょう。具体的には、免疫療法が効果を発揮しやすい患者を正確に見極める指標の開発や、ミトコンドリアの伝播を阻害する治療法の開発に向けた基礎研究が進むと期待されています。これにより、今後のがん治療の進展に大きな影響をもたらすことでしょう。
冨樫教授の感謝の言葉
受賞に際し、冨樫教授は「このたびの受賞を大変光栄に存じます。約5年前に研究室を立ち上げた頃から、独創性の高い研究に取り組む中で多くの幸運と支えに恵まれ、ここまで進めることができました。今後も新たな発見を大事にし、研究を続けていきたい」とコメントしました。
彼の研究は、基礎研究と臨床研究の両面から新たな治療法への道を開くことが期待されています。今後も岡山大学は、地域に根ざした研究を行い、社会に貢献し続けることでしょう。