地域と共に歩むリサイクル企業「次の灯」の挑戦と成長

2018年7月、岡山の小さな作業小屋でスタートを切った「株式会社アイテムワン」は、まさに運命に翻弄されることから始まった。創業からわずか4日後、西日本豪雨による未曾有の災害が襲撃。社屋も商品も一夜で失われ、困難な状況に直面しながらも、彼らは地域の復興に貢献することを自らの使命とする。泥まみれの現場に立ち向かい、約1ヶ月間のボランティア活動を通じて、地域への高圧洗浄機の配布や瓦礫撤去を行った。これが、「人や地域と共に立ち上がる」という企業理念の原点となった。

売上拡大と葛藤

会社は、創業から2年目にかけて急速に成長を遂げ、拠点の新設や事業の多角化に成功。5年目には年商9億円を突破する。しかし、急成長の影には、組織の価値観が揃わず、経営者としての限界と葛藤が色濃く残っていた。「会社を続ける意味」を問う姿勢は、しばしばリーダーを悩ませ、心身を削る作業となった。

再構築と「次の灯」への決意

2024年、次の灯は組織の再構築を進め、働きがいのある会社として名を馳せる。日本版のトップ100や「西日本ベンチャー100」に紹介され、企業のミッションとビジョンに対する理解が深まった。「人と環境の未来に責任を持つ企業」としての姿勢が明確になる様は、企業としての新たな方向性を示した。そして2025年、社名を「次の灯」に変更。これはただの名義変更に留まらず、「日本発の次世代企業」の決意を象徴するものであった。各賞の受賞は偶然ではなく、創業以来の価値観と挑戦の結晶である。

受賞の意義

「次の灯」が受賞した「注目の西日本ベンチャー100」は、西日本地域において期待される成長を遂げるベンチャー企業の厳選された100社を表彰するものである。また、中国地域ニュービジネス大賞においても、その革新性が高く評価され、全国レベルでの飛躍が期待される企業の証ともなった。

持続可能なビジネスモデルの確立

次の灯はリサイクル事業を基盤にし、製造や物流、人材、データ、そして技術を有機的に結びつけて、持続可能なビジネスモデルを築く。廃部品のリビルト事業からスタートし、業界の枠を超えた価値の再定義に成功。AIを駆使したデータドリブン経営も進め、利益を重視しつつ環境ビジネスを実現した。

地域貢献と人材育成

次の灯の成長は地域に根ざしており、利益を地域や社員に還元することを心がけている。若者の雇用創出や育成にも注力し、「子どもたちがワクワクする社会」の実現を目指す活動が続けられている。

未来へ向けた挑戦

第8期を迎える次の灯は、新たな挑戦を続けていく。「地域から全国、そしてアジアへ」という戦略の中で、環境・循環の領域で新しい常識を打ち立てるプロダクト開発に取り組む姿勢は、次の挑戦への布石として重要である。彼らは「信頼」、「誇り」、「共創」を大切にし、これからも新しい光を世界に灯していくだろう。これは単なる企業の成長物語ではなく、地域と共に未来を築く人たちの物語である。