地球内部660kmの境界形成の秘密
地球内部には660kmという深さに、不連続面が存在します。この660km不連続面は、地震波の速度が急に変わる層であり、これまでリングウッダイトの分解がその原因と考えられていました。しかし、近年の研究により、この考え方に新たな視点が加わることとなりました。
岡山大学の惑星物質研究所の石井貴之准教授と学習院大学の糀谷浩教授、赤荻正樹名誉教授らの研究チームは、高温高圧実験を通じてガーネットの相転移が660 km不連続面の形成に大きく関与していることを示すデータを得ることに成功しました。この成果は2026年5月25日、著名な地球科学雑誌「Nature Communications」に論文として掲載される運びとなりました。
研究の背景と内容
これまで660km不連続面の生成に関する理解は不十分でした。特に、観測されるこの面の複雑な構造を説明するのは困難でありました。しかし、この研究では、マントルで2番目に多い鉱物であるガーネットに注目し、その相転移のメカニズムを解明することを目指しました。具体的には、高い圧力と温度をかけた環境下で実験を行い、ガーネットの特性を探りました。
実験の結果、ガーネットの相転移が先に起こり、その後、リングウッダイトの分解を引き起こす「連動反応」が確認されました。これによって、660km不連続面の凹凸構造はガーネットの影響によって説明できることが明らかになりました。これは、930km未満のマントルが必ずしも異なる鉱物の寄せ集めではなく、均質なパイロライトの合成物であることを示す重要な発見です。
研究による新たな理解
本研究の結果は、地震学者にとっても新たな発見をもたらすものであり、マントルの深部構造に対する理解が深まることが期待されます。冷たい沈み込み帯や温かいホットプリューム、さらには平均的なマントル温度など、さまざまな条件下で660km不連続面の形成理由を一貫して説明できることも示されました。
石井准教授のコメント
石井准教授は、今回の研究成果について「15年間の長い研究の集大成であり、ようやく形になった実感がある」と話しています。また、彼は「科学は不断の進化に向けて前進し、積み重ねることで新しい視点を得ることができる」と述べ、若い研究者へ向けて「小さな疑問を大切にしてほしい」とメッセージを送りました。
まとめ
地球の深部についての理解はまだまだ深まっていく余地がありますが、これらの研究成果は、今後の地球科学のさらなる発展に寄与することでしょう。岡山大学と学習院大学の共同研究は、新しい視点で地球の内部構造を解明する手助けとなっています。今後の研究に注目が集まる中、この発見が科学的な新地平を浮き彫りにすることでしょう。