野菜未利用部を活用した新しい肥料の提案
キユーピー株式会社が進める新しい取り組みが、持続可能な農業の実現に寄与することが期待されています。この度、同社は東京農業大学やウエルクリエイトと共同で、野菜の未利用部と鶏糞を組み合わせた堆肥の効果を確認しました。この研究成果は、2025年9月に開催される日本土壌肥料学会で発表されることが決定しており、農業界での関心も高まっています。
研究の背景と目的
キユーピーグループは、パッケージサラダや惣菜の生産過程で発生する野菜未利用部を有効活用するための取り組みを進めています。食品ロスが社会問題となる中、これらの未利用部分を飼料や堆肥として利用することで、資源の循環を促進することを目指しています。さらに、鶏糞を加えることで、より高い肥料効果が得られることが本研究の主な目的です。
研究結果の要約
研究の結果、野菜未利用部と鶏糞を混合した堆肥(野菜鶏糞堆肥)は、肥料成分の濃度が高く、特にリン酸の肥効率は100%に達することが確認されました。この結果は、化学肥料と同等の収量を得られることを示しており、今後の農業において新しい肥料としての可能性を秘めています。
実験では、コマツナの栽培を行い、野菜鶏糞堆肥を用いることで化学肥料と同等の結果が得られました。また、野菜鶏糞堆肥と化学肥料を併用すると、化学肥料からのリン酸の利用率が向上することも確認されています。これにより、有機肥料の利用促進と化学肥料依存からの脱却が期待されます。
キユーピーの未来への道のり
キユーピーグループは、2030年までの目標として“野菜未利用部の有効活用率90%以上”を掲げています。これを達成することで、サステナブルな農業の実現に向けた取り組みを一層強化し、養鶏業界の課題解決にも寄与することを目指しています。
この研究は、食品ロスの軽減と資源の循環という視点から、非常に意義深いものです。今後はさらなる研究を進め、新たな有機肥料の開発を視野に入れています。
研究の意義
本研究から得られた知見は、食品産業全体における循環型社会の実現に向けた第一歩となります。事業系食品ロスの削減や、農業従事者の課題解決に向けた新しい道を切り開くことが期待されています。キユーピーの進めるサステナビリティへの道のりが、これからの農業を変えていくかもしれません。今後の動向に注目です。