日本金属、電磁界解析ソフト『JMAG』に新データ搭載
1. 極薄電磁鋼帯「STシリーズ」とは
日本金属株式会社は、東京都港区に本社を置き、小型高速モータに適した無方向性極薄電磁鋼帯「STシリーズ」を開発しました。このシリーズは、特に厚さ0.050mmから0.150mmの範囲で製造され、従来の電磁鋼帯と比較して極めて薄型化を実現しています。これにより、モータ内部で発生する渦電流損失を大幅に低減し、400Hzから20,000Hzの高周波領域において優れた低損失特性を発揮します。これがモータの高効率化や小型化、軽量化を実現する大きな要因となるのです。
2. JMAGとの連携
最近、日本金属は「STシリーズ」の材料データが、株式会社JSOLの電磁界解析ソフトウェア『JMAG』に公式に搭載されたことを発表しました。JMAGは、モータ、発電機、トランス、アクチュエーターなどの設計に利用され、特にその性能や挙動を予測・評価するために多くのユーザーが使用しています。今回の搭載により、JMAGユーザーは材料データの入入力作業から解放され、シミュレーションを使ったモータ設計・開発が効率化されることが期待されています。
3. 環境への配慮
日本金属は、極薄電磁鋼帯の優れた性能によりエネルギー削減効果を実現し、この製品を「エコプロダクト」として認定しています。2050年までにCO₂排出量をネットゼロにする目標を掲げ、環境対応素材の普及を通じて持続可能な製品開発に貢献しているのです。これは、電動工具やドローン、精密機器、医療機器など、さまざまな分野で活用される小型高速モータにおいてもその影響が見られます。
4. 具体的な材料データ
本年9月にリリースされたJMAGの最新バージョン(Ver.24.2)には、ST050(板厚0.05mm)、ST080(板厚0.08mm)、ST100(板厚0.10mm)、ST150(板厚0.15mm)といった異なる厚さの材料データも新たに搭載されています。これにより、お客様は多様なニーズに対応できるようになります。
5. 次代の製品開発に向けて
また、日本金属の方向性極薄電磁鋼帯「GTシリーズ」も多くの実績を持ち、今回の「STシリーズ」と併せて、両製品が次世代パワーエレクトロニクス機器や高周波トランス、インダクタなどの革新的な開発を強力に支援しています。
6. 日本金属の信頼性
日本金属とそのグループ会社である日金電磁工業株式会社は、50年以上にわたる実績を持ち、国内外のクライアントから高い信頼を得ています。彼らは独自の圧延技術により、厚さ0.1mm未満の極薄電磁鋼帯を日本で唯一製造しており、素材提供から製品化まで一貫して行う体制を整えています。
7. お問い合わせ
この新材料や技術に関心のある方は日本金属株式会社の公式ホームページで詳細情報を確認できます。お問い合わせは、総務部またはプロダクションプロセス・サポート部までお気軽にどうぞ。詳しい情報は下記のリンクをご覧ください。
このように、日本金属の極薄電磁鋼帯はモータ開発の未来を支える重要な技術となっているのです。