埼玉で開催された「Hibakusha Dialogue」
埼玉県蕨市に本部を置く生活協同組合パルシステム埼玉が主催する「Hibakusha Dialogue」というイベントが、8月8日(金)にさいたま市浦和区の「ぱる★てらす」で開催されました。約30名の参加者が集まり、特に広島で被爆した坂下紀子さんの証言を聞き、核兵器のない世界を目指す平和の意義について深い対話を行いました。
被爆体験を語る重要性
イベントは、公的な非政府組織であるピースボート災害支援センターの古賀早織さんによって進行されました。古賀さんは、被爆の実相を世界に伝える「おりづるプロジェクト」に参加し、体験の共有を通じて平和の実現可能性を探る重要性を強調しました。
「被爆体験を聞き、それを受け入れるためには心の準備が必要です。この時間が皆様の心に平和への願いを植え付けることを期待しています」と古賀さんは語りかけました。続けて、被爆者の笹森恵子さんのメッセージを紹介し、彼女が述べたように「平和は愛と行動があれば必ず実現できるものである」という考えが参加者の心を打ちました。
多様な視点から考える平和
また、シンガポールでの証言活動では、現地人虐殺の被害者遺族の声も聞く中、参加者と議論を重ねる重要性が語られ、被爆の問題を一面的に捉えない視点が求められました。特に、在日韓国人の証言活動からは、「日本がアジアを侵略しなければ原爆投下はなかったのでは」との意見もあり、さまざまな立場からの証言活動が重要であることが再確認されました。
未来へつなぐ証言のバトン
坂下紀子さん自身の被爆体験についても述べられました。彼女は、幼いころに経験した恐怖や、母や叔母、祖母の被爆の記憶を「命のバトン」として語り継いでいます。原爆投下の日の恐ろしい記憶と、それを乗り越えた人々の強さを、現代の若者たちへと伝えることが、彼女の使命となっています。
「お母さんは赤いカンナの花を見るたびに戦争の記憶を思い出していました。どうしてもその辛い過去を忘れられずにいて、私もまた平和の重要性を伝え続けなければと思います」と坂下さんは強く語りました。彼女の体験からは、戦争の悲惨さに対する忘却が生む恐ろしさと、次世代に語り継ぐ必要性が浮き彫りになりました。
メッセージツリーで平和を語る
イベント会場の「ぱる★てらす」では、「平和への思い」を埋め込んだメッセージツリーが設置され、参加者から数多くのメッセージが集まりました。107のメッセージが寄せられ、平和への願いが茂った_tree_は、まさに次世代に託される思いの象徴です。これらのメッセージは、これからの活動につながる重要な一歩となります。
結びに
「Hibakusha Dialogue」の開催は、核兵器廃絶を目指す上でも非常に有意義な取り組みであり、埼玉から次世代へと平和の大切さを繋ぐ試みが進められています。"未來は私たちが創り出すものです。核兵器のない、誰もが安心して生きることのできる世界を私たちの手で実現していきましょう"。これからも、被爆者のメッセージを受け継ぎながら、平和のためにできることに考えを巡らせる必要があります。