食品ロス削減の新しいアプローチ:ファミリーマートの涙目シール
株式会社ファミリーマートは、消費者の共感を得ながら食品ロス削減に取り組むユニークな施策「涙目シール」で「第34回 食品安全安心・環境貢献賞」を受賞しました。この受賞は、企業が環境保全と食品安全の両方を重視していることを示す重要な成果です。
涙目シールとは?
「涙目シール」は、値下げ商品の価格だけでなく、消費者の心に響くメッセージを添付することで、食品ロス問題に対する共感を募るシステムです。このシールには「たすけてください」というメッセージとともに、かわいい「涙目」のキャラクターが描かれています。これにより、消費者は単に値下げ商品の購入を促されるのではなく、食品を救うために行動するという意義を感じることができます。
実際、2024年10月に行われた実証実験では、涙目シールを使用した商品が従来の値下げシールに比べて購入率が向上しました。この結果を受けて、ファミリーマートは2025年3月から全国展開を開始し、年間3000トンの食品ロス削減を見込んでいます。
共感を生む新たなコミュニケーション
涙目シールは、店舗でのレジ液晶画面やデジタルサイネージ「Family Mart Vision」で使用されており、店舗内で消費者に直接呼びかけることで、食品ロスに対する意識を高めています。「値下げ商品を購入するのは恥ずかしいけれど、助けるためだと思えば購入できる」という消費者の声は、涙目シールがもたらした心理的効果を証明しています。
環境への取り組みと中長期目標
ファミリーマートは、環境に対する中長期目標「ファミマecoビジョン2050」を策定し、店舗での食品ロス削減に力を入れています。このビジョンは、「温室効果ガス削減」「プラスチック対策」「食品ロス削減」の三つのテーマで構成されています。2030年には50%、2050年には80%の食品ロス削減を目指しており、様々な施策が進められています。
具体的な取り組みとしては、商品包装の改善や発注精度の向上、また「てまえどり」の実施などがあります。2021年からは、消費期限の迫ったおむすびや弁当などに対してバーコード付き値下シールを用い、全国の9割以上の店舗で「ファミマのエコ割」システムも導入されています。
未来に向けて
ファミリーマートは、「あなたと、コンビに、ファミリーマート」という理念のもと、地域のコミュニティに寄り添いながら、お客さまと共に便利な場所を目指していく取り組みを進めています。涙目シールを通じて、より多くの人々に食品ロス削減の重要性を伝え、人と地球に優しい社会の実現を目指しています。
このように、ファミリーマートの涙目シールは、消費者との共感を軸にした新たな食品ロス削減の取り組みとして、多くの期待を集めています。これからも、様々な施策を通じて、持続可能な未来に向けた活動を展開していくことでしょう。