物価高騰に苦しむ管理栄養士たちの実態と対策

近年、物価の高騰が続く中、全国の管理栄養士・栄養士1,959人を対象とした調査が行われました。この調査は、彼らがどのような現状に直面しているのかを明らかにし、特に給食関連の業務や職場環境の厳しさを浮き彫りにしています。

職場の現状と満足度

調査によると、管理栄養士・栄養士の43.8%が現在の勤務先に満足していると答えましたが、これは前回調査（47.3%）に比べて減少しています。主な理由として「給料が安い」（44.4%）と「昇給が見込めない」（25.2%）が挙げられ、金銭面での満足度が低下していることが分かります。

給食予算の厳しさ

特に、給食の予算を管理する立場にある栄養士たちは、84.1%が物価高騰による悩みを抱えています。具体的には、何を買うべきか、どのようにメニューを構成するかといった課題が日々の業務に影響を及ぼしています。調査によって、1食あたり41円から60円の増額を希望する声も多く寄せられました。

物価が上昇する中、管理栄養士たちは「果物」や「牛肉」など、購入を見送った食材を挙げ、その代わりに「バナナ」や「キャベツ」などの手頃な食材を使わざるを得ない状況が窺えます。また、行事やお祝いで使われる「ウナギ」や「タイ」などの高級食材も、制約が厳しくなっているのが現実です。

節約と工夫

バランスの取れた献立を維持するために、多くの栄養士は創意工夫を凝らしています。例えば、国産米からカルローズ米への変更や、ウナギの代用に穴子を使用するなどの工夫が見られます。また、食材のロスを減らすために、嗜好調査を活用して献立を調整し、残食を減少させる取り組みも行われています。

他にも、複数の業者から価格を見積もり、コストを下げる努力をしている現場も存在します。しかし、それでも規定以上の物価上昇に対しては「どんなに工夫しても追いつかない」という声も聞かれ、厳しい限界を感じる栄養士も少なくありません。

調理スタッフの現状

調査の中で調理スタッフに関する項目も注目されました。約7割の栄養士が人手不足を感じており、さらにスタッフのスキル低下を指摘する声も多く見られました。特に高齢者の増加や教育機会の不足が影響し、入所者の安全に対する懸念が高まっています。多くの栄養士が「衛生への意識が低い」という不満を抱えながら、異物混入を防ぐために自己管理や衛生管理の重要性を再認識している状況です。

食の安全と衛生管理

食中毒防止のため、栄養士たちは手指の消毒や衛生管理に気を配り、食材選びに慎重を期しています。しかし、現場の人手不足やスキルの低下が食の安全性を脅かす要因となっており、「食の安全が保たれない」という不安感が色濃く現れています。

まとめ

今回の調査から、管理栄養士・栄養士たちは、物価高騰という厳しい状況に直面しながらも、献立作成や食材選びにおいて創意工夫を重ね、日々の業務を維持しようと奮闘している姿が浮かび上がりました。職場環境の向上や人員の確保、スキル向上への取り組みが求められており、今後の改善が期待されます。さらに、彼らが抱える問題に対しては、社会全体で支援していく必要があるでしょう。