岡山大学異分野基礎科学研究所の沈建仁所長が小林賞を受賞
国立大学法人岡山大学の異分野基礎科学研究所の沈建仁所長・教授が、公益財団法人小林財団の第6回小林賞を受賞することが決定しました。この栄誉は、沈教授が行ってきた光化学系複合体に関する革新的な研究によるものです。
小林賞受賞の意義
小林賞は、医学、薬学、農学、工学、そして理学を含む生命科学分野で独創的な業績を挙げた国内の研究者に与えられる賞です。2019年から設けられ、各分野で優れた成果を出した研究者のさらなる躍進が期待されています。沈教授による「光化学系複合体の構造生物学的研究」が評価され、今回の受賞に至りました。
光合成のメカニズム解明
沈教授は、シアノバクテリアから得られた光化学系II(Photosystem II, PSII)の高分解能構造をX線結晶解析によって解明しました。この研究では、水分解や酸素発生の反応を触媒するマンガン・カルシウムクラスターの詳細な構造が示されました。また、SACLA(X線自由電子レーザー)を利用し、光照射に伴う触媒中心の構造変化を明らかにすることで、光合成反応の機構を解明する手がかりを提供しました。
加えて、巨大な光化学系と集光性アンテナタンパク質の複合体における光エネルギーの効率的な捕集と伝達機構をクライオ電子顕微鏡で解明し、研究のさらなる深まりをもたらしました。これらの業績は、人工光合成と呼ばれる人類の夢に向けた指針を与えるものとして国際的な評価を得ています。
沈所長の感謝の言葉
受賞が決まった沈所長は、「これまでの研究が評価されたことを非常に嬉しく思います。多くの共同研究者の皆様に感謝し、今後もさらなる成果を目指して努力します」とコメントしています。彼の研究を支えたチームの存在が、今回の成功に重要な役割を果たしています。
岡山大学の特長ある研究環境
岡山大学の那須保友学長は、「沈所長が小林賞を受賞したことは大学にとって大変嬉しいニュースです。彼の光合成に関する研究は、単に国際的な水準に留まるのではなく、世界をリードする水準に達しています」と述べました。また、本大学では、沈所長が拠点長を務める「植物・光エネルギー開発拠点」において、地域社会の変革を図る研究活動を進めています。
今後の展望と期待
今後も岡山大学は、267回の研究活動を活発に展開し、地域中核・特色ある研究大学としての役割を果たしていくことを目指しています。沈教授の研究成果は、今後の研究形成において新たな道を切り開くものとなるでしょう。受賞式は2月27日に大阪市で行われる予定です。
岡山大学は、地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学としてのビジョンを持ってます。沈所長の受賞を機に、さらなる研究の発展に期待が寄せられます。