介護職の定着支援を強化するエス・エム・エス
介護職の人材不足が深刻化する中、株式会社エス・エム・エスは2025年問題に向けた新たな取り組みを進めています。その内容は、入職前後のサポート体制を強化し、介護職への定着を促進することで、年間663人もの離職を防ぐというものです。この取り組みは、特に介護業界の入り口である未経験者を対象とした支援に注力しています。
社会的背景と介護業界の現状
2025年以降、日本では団塊の世代が75歳を迎え、医療や介護サービスの需要が急増すると考えられています。この状況は、社会全体の介護従事者の不足をさらに深刻化させる可能性があります。現在の介護職は、他業種から転職してくる未経験者や資格を持たない無資格者が多く、その多くが介護業務に対する期待と現実とのギャップに直面しています。その結果、短期間での離職が相次いでいるのが現実です。
このような状況に対し、厚生労働省は介護人材の確保を目指し、多様な人材の参入や専門性の高い人材の育成に取り組んでいます。特に、未経験者の受け入れとその後のキャリア形成の支援が重要です。
エス・エム・エスの取り組み
エス・エム・エスは、2014年に介護職向けの人材紹介「カイゴジョブエージェント」を立ち上げ、翌年には資格取得のためのスクール「カイゴジョブアカデミー」を開設しました。このスクールでは、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修など、多様な資格取得講座を提供し、全国で21校を展開しています。直近5年間で、約33,000人がこのプログラムを修了し、着実に次のキャリアステップを踏んでいます。
さらに、12万件以上の介護求人を有する「カイゴジョブ」と連携し、資格取得後の就業支援も実施。資格と就業を一貫してサポートする体制が整っています。また、異業種から介護職を目指す受講生が多く、販売・サービス業や製造業などからの転職者が目立っています。
定着支援の具体的アプローチ
エス・エム・エスは、介護職へのマッチング後の定着を図るために、2021年から入職前後のフォローを行う専任組織を設置しました。この組織では、キャリアパートナーが求職者の不安を取り除くために、電話やチャットでサポートを提供します。入職後も定期的にフォローを行い、その結果をモニタリングすることで、定着率の向上を目指しています。
また、介護業界未経験の従事者には、介護経験10年以上のプロがサポーターとしてつき、オンライン面談や資料・動画の提供を通じて手厚いサポートを行っています。これにより、短期間での離職率が約16%減少し、663名の離職防止に成功しています。従事者の定着支援に関わる組織も最近4年で4倍に拡大しているため、今後もさらなる取り組みが期待されています。
介護人材の未来に向けて
エス・エム・エスは、介護業界への新しい人材の受け入れを促進し、キャリアアップの支援を続けることで、介護人材不足の解消に努めています。同社の本部長、塩﨑雄一郎氏は、「他業界からの参入を促すこと、また業界からの離脱を防ぐことが重要です」と述べ、未経験者への手厚いサポートの重要性を強調しています。
柏崎桃子さんは、「心の変化が成長につながり、イキイキと働けるようになる。この仕事が大好きです」と答えています。今後、介護職の魅力を引き出し、多くの人が長く働き続けられる環境を作るための努力が続けられるでしょう。
このような取り組みを通して、介護業界は求められる人材を受け入れ、職場の環境を整え、未来の希望を感じられる場を提供することを目指しています。