電子機器の修理意識調査 〜消費者の実態と今後の課題〜
近年、電子ゴミ問題が深刻化している中、その解決策として「修理」に焦点が当たっています。株式会社萬年が実施した全国調査で、消費者の電子機器および家電製品に対する修理意識を明らかにしました。本記事では、調査結果を通じてどのような問題点が浮かび上がったのか、またどのようにして修理を促進していくべきかを考察します。
調査の背景と目的
国連の報告によれば、2022年時点で世界中で約620億㎏の電子ゴミが排出され、そのうちの25%未満がリサイクルされているとのこと。この事態を受け、欧米諸国では修理権の拡大や修理可能指数の表示義務化など、具体的な対策が講じられている一方、日本は法令の面で遅れを取っています。
そこで、株式会社萬年は116地域の消費者を対象に、電子機器の消費と修理意識に関する調査を行い、その結果を基に電子ゴミ問題の解決策を模索しました。
調査概要
- - 調査内容: 電子機器および家電製品の消費に関して
- - 調査日: 2024年12月13日
- - 調査地域: 全国
- - 調査機関: Freeasy
- - 調査人数: 100人(男性50人、女性50人)
- - 調査方法: インターネット調査
購入時の重視ポイント
デジタルデバイス
調査によると、デジタルデバイス購入時に最も重視される点は「機能の高さ」で約60%、次いで「価格の安さ」が50%、「耐久性」が42%と続きます。一方で「修理のしやすさ」を重視する人はわずか13%でした。特に10代では、「修理のしやすさ」を気にする割合は0%という結果が出ています。
小型家電
小型家電の購入においても同様の傾向が見られます。「価格の安さ」が一定の割合で求められるものの、修理のしやすさも14%と低いままでした。年代別では、特に30代や50代において価格を重視する傾向が顕著で、必要品だからこそ安さを求める消費行動が伺えます。
大型家電
エアコンや洗濯機、冷蔵庫、テレビなどの大型家電では、全体的に「機能の高さ」や「耐久性」の重視度が増しています。「修理のしやすさ」も14%ですが、特に60代以上の層では23.53%に上ります。これらの調査から、年代により修理の意識やニーズの違いが浮かび上がります。
修理意識と実態
実際に壊れた際に「修理したい」と答えた人は全体で65.12%に達しました。この中で、実際に修理を行ったのは約58.93%でした。70%超える10代の若者に対し、60代以上では45.45%から修理への実行可能性が低いことが分かりました。
両年代の差による体力的な要因や情報のバリアも懸念されます。
修理しない理由
約41.07%が「修理したいと思わない」と回答し、その理由の多くは「安価に新製品が買えるから」としました。この選択肢は特に20代から50代に多く見られ、修理意識の低下を招く市場の状況が浮き彫りとなります。また、「修理できないと思った」や「道具がない」「危険を感じる」といった心理的・物理的な障害も影響しています。
今後の展開に向けて
調査の結果、修理したいと考える人が多いにもかかわらず、修理の実行に移せない現状が明らかになりました。本調査では「修理のしやすさ」を購入時点で考慮することが、製品選びや市場を変えていくカギになると考えます。メーカーや関連運営者は、どの製品が修理しやすいかなどの情報提供を行うことで、消費者の選択肢を広げ、修理意識を向上させる必要があるでしょう。
この問題解決のため、私たち一人ひとりが修理を選ぶことが、持続可能な社会への第一歩となります。
問い合わせ先: 株式会社萬年
TEL: 0495‐77‐4459
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