名誉博士の称号授与式について
2025年12月5日、岡山大学はオーストリアのエッスル財団創設者であるマーティン・エッスル氏に名誉博士の称号を授与しました。この歴史的な瞬間は、岡山大学のJunko Fukutake Hallで行われ、学長の那須保友氏がエッスル氏に授与書を手渡しました。式には教職員を始め、学生や学外の関係者も多く参加し、彼の偉業を称える機会となりました。
マーティン・エッスル氏の背景
エッスル氏は、シェーマー・バウマックス・グループのCEOとして、同社を中欧・東欧9カ国に150店舗以上展開する大手ホームセンター小売チェーンへと成長させました。その企業文化は、障害の有無に関わらず多様な人々が共に働く環境を重視し、多くの経営賞を受賞しています。
特に2008年に設立されたエッスル財団は、障害者の権利向上とインクルージョンをテーマに掲げ、国際的なプラットフォームである「ゼロ・プロジェクト」を構築しました。このプロジェクトは国連の障害者権利条約に基づき、すべての人々に公平な生活権を提供することを目指しています。
ゼロ・プロジェクトの活動
ゼロ・プロジェクトは、障害者権利条約を実施するために、世界中の優れた実践やポリシー、テクノロジーを発掘・共有し、国際的に知られる活動へと成長しています。現在、100か国以上、10,000人を超えるネットワークを持ち、社会包摂を推進する活動が広がっています。
記念講演と交流の場
授与式の後、エッスル氏と岡山大学病院の片岡祐子准教授による記念講演が行われました。エッスル氏は「ゼロバリアの世界のために」というテーマで、これまでの活動や日本での期待について述べました。片岡准教授は「難聴者のコミュニケーションバリア解消に向けた開発」という内容で、技術による解決策について説明しました。
両者は、共に組織や社会を築くことの重要性を強調し、聞き手に感銘を与えました。エッスル氏の岡山大学への訪問は、岡山放送株式会社などの受賞団体との交流を深める重要な機会となりました。
エッスル氏との交流の意義
今回のエッスル氏の訪問を通じ、岡山大学は地域と地球全体のウェルビーイングの向上を目指しており、ゼロ・プロジェクトとの連携を強化していく方針です。今後の活動や具体的な協働に向けて、学長は企業や団体との意見交換を行いました。
岡山大学は、この機会を通じて、学校や地域社会とのさらなる連携を図りながら、障害のある人々を支援する活動を展開していく予定です。岡山大学は今後も地域中核・特色ある研究大学としての役割を果たしながら、多様性のある社会の実現に貢献していくことを約束します。