管理栄養士の働き方に関する実態調査が明らかにする新たな動向

株式会社エス・エム・エスが実施した、全国の管理栄養士・栄養士1,990人を対象にした働き方実態調査の結果が発表されました。この調査から、2024年の災害を受けた備蓄の意識改革や、勤務環境の改善状況などが浮き彫りになってきました。

調査結果の概要

収入と昇給

まず注目すべきは、管理栄養士と栄養士の月収に関するデータです。管理栄養士の多くは「21～25万円代」に位置し、栄養士は「16～20万円代」が最も多いとされています。また、約66.6%が昇給を経験したという結果からも、前年に比べて改善が見られました。これは特に、近年の物価上昇を考えると貴重な成果でしょう。

満足度の向上

調査によれば、管理栄養士・栄養士の勤務先に対する満足度も前年より改善され、47.3%が「満足」と回答。この満足の理由には「休みがとりやすい」という点が54%を超え、大きな要因となっています。ただし、依然として「給料が安い」と感じている割合が45%を超えているのは課題です。

仕事へのやりがい

さらに、約70%が自分の仕事にやりがいを感じているという調査結果も得られました。特に「患者・利用者から感謝される」ことが大きなやりがいとなっているようです。これは、医療・福祉分野で働く専門職ならではの特権と言えるでしょう。

本来業務への集中と課題

調査では、本来業務に集中できている割合は41.9%にとどまる結果が出ました。多くの栄養士が本来の業務に不必要な作業、例えば電話番や窓口対応などをしており、その影響で栄養管理がおろそかになってしまうという懸念の声も上がっています。

体調管理とイベント食の実施

体調管理については、過半数が肉と二枚貝の生食を避け、普段からマスクを着用しているとのこと。職業柄、健康への配慮が求められます。また、イベント食に関しては42.9%が実施しているものの、51.7%は予算の増加がないという厳しい現状も報告されています。イベント食は利用者の喜ぶ顔が見られる貴重な瞬間ではあるが、それを支える環境がまだ整っていないのが実情です。

災害への備え

2024年の自然災害に影響を受け、約70%の栄養士が備蓄への意識が変化したとのこと。半数以上が備蓄を見直し、約30%が実際に備蓄を増やしたと言われています。この動きは地域の安全性向上にも寄与するもので、管理栄養士としての責任感が強まったことを示しています。

今後の展望

調査結果を基に、労働環境の向上、やりがいのある業務への集中を核にした改善策が求められます。管理栄養士や栄養士は、ますます重要な役割を担うにあたって、より良い環境で効率的に業務を遂行できるよう、今後さらなるサポートが必要です。地域における栄養士の存在価値を高め、質の高いライフスタイルの提供につなげていきたいものです。