在宅療養を支える新たな取り組み
犬猫を助ける革新技術
高齢化や疾患による在宅療養が必要な犬猫が増える中、藤沢市に拠点を置くわんだにゃー株式会社と一般社団法人いきいきプラザは、革新的なサービスを提供することとなりました。これまで、呼吸器疾患や心臓病を患ったペットは、通院することが困難な場合もあり、多くの飼い主が悩みを抱えていました。そこで、ペット用酸素室を自宅に届けるという新しいサービスの実証実験を開始することになったのです。
在宅ケアの課題
最近、犬や猫の平均寿命が延び、老齢や疾患を抱えるペットが増加しています。家庭どうぶつ白書においても、高齢期における慢性疾患が多く報告されており、その中には心臓病や気管虚脱、慢性呼吸不全などが含まれています。これらの症例においては、自宅での安静や酸素環境の確保が求められますが、実際には以下のような課題が存在しています。
- - 酸素室の受け取りや設置の困難
- - 移動の負担から通院を避ける傾向
- - 通院時や急変時の頼れる移動手段の不足
地域の連携で新しいモデルを構築
このプロジェクトは、上記の課題を克服すべく、地域連携を重視した新しい在宅療養モデルを実施するものです。ペットタクシー事業を展開しているわんだにゃー株式会社と、一般社団法人いきいきプラザが協力し、酸素室の手配から移送支援までを一つの流れで実現します。これにより、自宅に必要な機材を確実に届けると共に、通院が難しい状態でも、酸素室を搭載した車両で安心して移動できる仕組みが整います。
具体的なサービス内容
実証実験には、以下の3つのサービスが取り入れられています。
1.
ペット用酸素室の自宅配達
酸素室の配送から設置補助、回収までをサポート。操作法は、電話や動画通話を通じて行います。
2.
機材単体の輸送サービス
酸素室のトラブルとなった際の交換や移動、再設置などのニーズに対応。
3.
酸素投与が必要なペットの送迎
呼吸障害を抱えるペットのために、酸素室を搭載した車両で通院や深夜の送迎を行います。
実証に込めた想い
わんだにゃー株式会社の代表、沖野 真記氏は、過去に多くのペットの移動に苦しむ家庭を見てきました。この新しい取り組みを通じて、苦しい状態のペットができるだけ快適に過ごせる環境を整えたいと語っています。また、いきいきプラザの代表、稲村 隆行氏も、ペットの酸素室をより身近に感じてもらうことを目指し、飼い主が急な対応でも安心できるようにする取り組みの重要性を強調しています。
今後の展望
今後は、一都三県における需要動向を調査し、より安全で快適なサービスを提供できるよう、輸送時の酸素濃度や温度管理の検証を進める計画です。さらに、動物病院や福祉団体との連携を深め、夜間の緊急送迎や動物介護の支援など、地域の体制を強化していく予定です。これにより、在宅療養の質を向上させ、ペットと飼い主が安心して過ごせる環境を提供することができるでしょう。
この新たな取り組みは、単に酸素室を届けるだけでなく、地域全体でペットを支え、共に生きるための大切なステップになると期待されています。