物流を支える新しい産業モデル、次の灯が挑む循環型GXの実力
日本の物流インフラは、今、さまざまな要因によって危機的な状況に直面しています。部品価格の高騰や整備工場の廃業、さらに人手不足が進行し、トラックやバス、建設機械が停止すれば、私たちの生活も大きな影響を受けてしまいます。そんな現状において、岡山発の環境ベンチャー企業である次の灯株式会社(通称:次の灯)が注目を集めています。
循環型GXモデルの導入
次の灯が打ち出しているのは、"廃棄物ほど損失、回収するほど利益"という新しい産業の構造です。この循環型GXモデルは、全国的に広がりを見せており、業界に大きな変革をもたらしています。
彼らが提供するのは、排ガス浄化装置(DPF)を核に、再資源化とデータ活用を組み合わせた循環型インフラです。これにより、新品の30〜60%のコストで同等性能のリビルトが供給可能となり、また、CO₂削減効果を可視化して損失を減らすシステムが整っています。
実績と数字で示す効果
次の灯は、実績を重視し、数字の裏付けをもってその効果を示しています。これまでの物流企業のデータによると、部品コストは36%削減され、DPFトラブルは57%も低減されています。また、稼働停止時間の大幅削減にも成功しており、現場の状況を数値で把握することで危機を改善しています。
成長の必然性
現在、次の灯は市場の急成長に伴い、大きな3つのドライバーが揃っています。資源の高騰にともない循環価値の利幅が増大し、GX規制の強化が“義務対応”から“利益化”へと進化。また、人材不足の急増により、従来の新品・交換モデルでは供給が追いつかない状況です。これらの要因が相まって、次の灯の循環モデルは急速に広がる環境を築いています。
全国展開と未来の展望
次の灯は、現在岡山、東京、埼玉の3箇所に拠点を持ち、今期の売上は20億円を見込んでいます。取引先は全国で4,000社を超えており、累計の循環価は40億円相当、CO₂削減量は2,000トンを超える見込みです。今後、資金と供給網をさらに拡張することで循環価値は指数関数的に増える構造を持っています。
事業モデルの特性と社会的評価
次の灯の代表、黒川聖馬氏は「物流が止まれば、生活が止まる」と語り、廃棄に向かう資源に新たな価値を与え、止まらない産業インフラの構築を目指しています。この取り組みは2025年度のベストベンチャー100選出や岡山アワードの受賞など、社会からも高く評価されています。これは単なる挑戦の証ではなく、その実装の価値が認められ始めた結果なのです。
今後の展開としては、最短24時間での供給網を確立することを目指し、新たな拠点を東京や埼玉に開設する予定です。これにより、物流が止まることのない未来を技術によって支え合う姿が見えてきます。
次の灯の取り組みは、地方発のGXが新たな未来を築くための道標となるでしょう。環境への配慮と経済活動の両立を目指したこのモデルが、多くの企業にとっての学びの機会となることを期待しています。