農産物鮮度保持を目指す新たな取り組み
株式会社タカミヤは、農産物の鮮度保持に優れた技術を有する株式会社ベルグリーンワイズと提携し、2025年7月より「TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK」(略称:TAP)に新しい鮮度保持冷蔵システム「モイスト・クールシステム」を導入することを発表しました。このシステムの導入によって、農産物の出荷タイミングを柔軟に調整できるようになり、農産物の安定供給が可能となります。
「TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARK」(TAP)の概要
タカミヤは、農業分野における多くの課題、特に後継者不足や人材教育の問題に取り組むため、2024年4月に埼玉県羽生市にTAPを開設しました。ここでは、単なる栽培場所としてだけではなく、先端技術の開発や課題解決のための展示、さらには人材育成を一体的に行うプラットフォームとして機能しています。具体的には、AIやロボティクスを活用した実証研究や、「トレーニングファーム」による農業人材の育成も予定されています。
TAPは、「農業版シリコンバレー」を自称し、農業の未来を共創する場として注目されています。特に現在、気候変動による異常気象による影響が大きく、長雨や高温による作物の成長が脅かされています。これにより「一年を通じて安定して農産物を届けてほしい」という要望が高まっているため、TAPは「持続可能な栽培体制の確立」と「収穫後の安定供給体制の構築」に力を入れています。
モイスト・クールシステムの特徴と利点
新しく導入されるモイスト・クールシステムは、氷点下近辺でも高湿度を維持し、青果物にとって最適な保管環境を提供します。このシステムの特徴は、温度と湿度をそれぞれ独立して制御できる点です。具体的には、庫内環境を0℃±0.5℃の低温と、95%±5%の高湿度で維持することが可能で、必要な冷却空気を天井一面から供給することで、効率的な冷却を実現します。
実証実験では、このシステムにより保管されたブロッコリーが78日間後も新鮮さを保つことが確認されています。一般的な冷蔵庫での保管と比較しても、温湿度の管理が格段に優れています。
両社の意気込み
この協業について、ベルグリーンワイズの小森弘道氏は、共同事業により日本の農業が抱える課題、特に気候変動や人手不足に対する効果的な解決策となることを期待しています。タカミヤの岡本裕之氏もまた、モイスト・クールシステムが農業の未来を共創し、日本の食料供給問題にも貢献できるとの確信を表明しています。
さらに広がる可能性
今後、両社はモイスト・クールシステムをはじめとするTAPの取り組みを展示会でPRしていく予定です。2025年7月には愛知県で開催されるAGTS農業展での共同出展も予定されており、さらに多くの人にこの新技術の有用性を伝えていく予定です。
この新たな農業の未来に向けた取り組みは、地域の農業がどのように進化していくのかを示す重要な一歩となるでしょう。
TAKAMIYA AGRIBUSINESS PARKの公式サイトもぜひご覧ください。